【2017年】原油価格の見通し

スポンサーリンク

Oil
※オンラインコミュニティ「旅ビジ」を再編集した記事です。

世界経済において、原油価格の上がり下がりはとても重要で、連日ニュースのヘッドラインで扱われています。経済大国であり、石油資源のない日本にとって、石油について学ぶことや、どのように価格設定が行われているのか、その歴史的背景や、政治的背景を知ることは、とても大切です。

そして、僕らがこの先に海外と仕事をする上で、石油を取り巻く世界情勢を知っておくことで、今後のビジネスチャンスに繋げられるかもしれません。日経新聞の理解度も増すと思います。

現在原油価格は暴落しています。日本は石油を輸入する立場なので、原油価格が落ちれば、物価も安くなります。ガソリンや飛行機のサーチャージも以前に比べると随分安くになりました。

原油価格を紐解くために、まずは原油の歴史からみていきましょう。


アメリカで初めて石油が発掘された1859年にペンシルバニア州で初めて石油が採油されました。それからアメリカでは日常的に石油が使われるようになります。

ロックフェラーが、石油掘削業者を次々と買収・統合していきました。ロシアもアメリカと時を同じく石油が大量に採油され、アメリカとロシアが世界最大の石油輸出国に成長しました。

アメリカでの石油ブームが終焉し、中東が世界一のシェアを握った



しかし、アメリカでの石油ブームが終わり、1920年代に入ると中東に膨大な石油が眠っていることが明らかになりました。この頃、中東の石油生産の中心はイランとイラクでした。1938年にサウジアラビアのダンマーム、クウェートのブルガン両油田が本格的に採油されました。


世界の石油の値段を決めていたセブン・シスターズ


しかし、当時のアラブ諸国には、採油をする技術がなかったため、欧米系の以下7つの会社が、世界の石油界を牛耳っていました。


  1. スタンダードオイルニュージャージー(後のエッソ、その後1999年にモービルと合併しエクソンモービルに)
  2. ロイヤル・ダッチ・シェル(オランダ60%、英国40% )
  3. アングロペルシャ石油会社(後のブリティッシュペトロリアム、2001年に会社名の変更でBPに)
  4. スタンダードオイルニューヨーク(後のモービル、その後1999年にエクソンと合併してエクソンモービルに)
  5. スタンダードオイルカリフォルニア(後のシェブロン)
  6. ガルフオイル(en)(後のシェブロン、一部はBPに)
  7. テキサコ(後のシェブロン)



この7社は石油を購入する側です。7社がカルテルを結んで、石油の値段を自由にコントロールしていました。ここで反発したのが、石油を売る側の国々です。

売る側もカルテルを結んで、欧米諸国に対抗しようと出来たのがOPEC(石油輸出国機構)です。


OPECの誕生


OPECは、南米のベネゼエラが石油輸出国に呼びかけて誕生した組織です。ニュースでその名を聞いた方も多いでしょう。


  • イラク
  • イラン
  • クウェート
  • サウジアラビア
  • ベネズエラ
  • カタール
  • リビア
  • アラブ首長国連邦
  • アルジェリア
  • ナイジェリア
  • アンゴラ
  • エクアドル
  • インドネシア


アラブ国を中心としたOAPECの誕生



石油の値段を下げたいセブン・シスターズ(欧米の石油会社)と、石油の値段を上げたいOPECは激しい争いを繰り広げていました。

1973年にイスラエルとアラブ諸国の間で第四次中東戦争が勃発しました。この時にアラブ系の国々が石油の値段をあげようと考えました。OPECの中で、さらにアラブ国を中心としたOAPEC(アラブ石油輸出国機構)という組織が誕生しました。


  • サウジアラビア
  • アルジェリア
  • バーレーン
  • エジプト
  • アラブ首長国連邦
  • イラク
  • クウェート
  • リビア
  • カタール
  • シリア


石油を武器にしたアラブ諸国



アラブ諸国は、イスラエルとの戦争に際して、アラブ諸国を応援する国には石油を安く売り、アラブ諸国を応援しない国には石油を高く売るようになりました。特に敵国であるイスラエルと、イスラエルを支援するアメリカ、オランダには石油を一切売らないと決定しました。


こうして石油を武器にして、自分達の戦争を有利に運ぼうとしました。これにより、石油の値段は高騰し、いわゆるオイルマネーが中東に流れ込むようになりました。

突然お金持ちになったアラブ諸国



これまで貧乏だったアラブ諸国がオイルマネーで、突然お金持ちの国になりました。始めはオイルマネーでお金持ちになったアラブ王達が、無駄な事にお金を散財していましたが、やがてオイルマネーを運用するようになります。

原油を売ったお金で、原油先物に投資して更に利益を上げました。あるいは世界中の高級マンションやホテルを次々に買収しました。

格差が生み出したイスラム原理主義者


石油が出るアラブ諸国が急激にお金持ちになっていく中、中東には石油が出ない国もあります。石油が出る国、出ない国での経済格差はどんどん広がっていきました。
更にアラブ諸国内でも石油に関連した事業に従事している人は豊かになりますが、それ以外の庶民にまでは富は行き渡りませんでした。
中東の国では、イスラム教の人たちが大多数を占めています。イスラム教の唯一神・アッラーの前では全ての人間が平等という教えがあります。

「オイルマネーは格差を生み出し、アッラーの教えに反する!みんなが平等に戻るべきだ」というのが”イスラム原理主義”の考え方です。ここからイスラム原理主義という考えが急速に広まっていきました。イスラム原理主義者の中から、武力行使をする過激派が誕生し、各地で勢力を伸ばしていきました。そしてニュースで報道されるように、過激派の一部は世界各国でテロ行為を起こす事態にまでなったのです。


米国のシェールガス革命


石油が初めて採油されたのはアメリカです。テキサス大油田で世界の工場となったアメリカは、経済成長が劇的なスピードで起こり、世界一の経済大国になりました。

しかし、テキサス大油田の生産がピークを過ぎると、石油生産の主役の座はサウジアラビアなどを中心とした中東諸国に移り変わりました。中東からふんだんに入るエネルギーをテコに、経済成長を遂げたのが日本です。

日本は石油ショックで、一旦は経済が低迷しますが、それをバネに更に成長を遂げ、モノづくりの大国となり、アメリカ経済を脅かす存在までに登りつめました。日本を追う形で、中国を始め多くの新興国(ASEAN)がアジアの工場をなっていきました。 

これまで世界経済を石油の力で動かしてきた中東ですが、アメリカのシェールガスの登場により、業界の世界地図が大きく変わりました。アメリカの天然ガスの埋蔵量は、なんと中東をも超えてしまいました。 

原油と石油と天然ガスの違いは?



石油や原油、天然ガスと色々書いていますが、これは同じものなの?という疑問があると思いますので、補足しておきます。

原油というのは地下から採油した、未精製の石油の事です。原油は液体で、砂が混じっている事もあります。これを精製したものが、石油です。原油は地中に「ドロドロの液体」と「気体」の2種類の形で存在します。ドロドロの液体が原油で、気体は天然ガスと呼ばれます。
 

シェールガスとは?


頁岩(けつがん)と呼ばれる堆積岩の層から採取される天然ガスのことです。シェールガスの存在自体は1821年に確認されていましたが、シェール層からの天然ガス採掘は技術的に困難であるため、開発・生産は行われませんでした。しかし、2000年代に入り、アメリカでシェールガスを取り出す技術が確立され、注目を浴びる事となりました。 


前述のとおり、シェールガスによる天然ガスの埋蔵量は、中東をも超える量がある事がわかりました。これまで世界一石油を輸入していたアメリカは、これからは石油を世界一輸出する国に生まれ変わろうとしています。 

モノづくり大国アメリカ再び


 
石油は、車や戦車などで利用されるガソリンに使われる事は周知の事実ですが、実は僕らが毎日着ている洋服やパソコン、スマホにも使われています。 
エチレン(エチレンは天然ガスから作られます)を加工したポリエチレン(プラスチック)は、洋服やスマートフォン、パソコンなどに使われています。様々な工業製品を格安でアメリカ自国でまかなえるようになり、再びモノづくり大国として押し上げるチャンスがあります。 
これまでのアメリカ経済は、ITや金融サービスが中心でしたが、シェールガスという新しいエンジンが生まれた事で製造業という分野で更に強いアメリカに生まれ変わろうとしています。
アジアでは人件費は安いですが、天然ガス(エチレン)は他国から輸入しないといけないので、生産コストが高くなります。逆にアメリカは人件費はアジアに比べると高いですが、エチレンは自国で作れるようになったので生産コストは安くなり、中国やアジア諸国とアメリカの製造コストは、縮小されています。 

実際にパソコンメーカーなどは工場を中国からアメリカに回帰する流れができています。この動きはこれからも加速していきそうです。

原油価格が暴落している理由


 
モノの値段は、需要と供給で決まります。現在の原油が安いのは、原油を使う量よりも供給する量が多いからです。現在、世の中には原油が必要以上に出回っているため、原油価格が暴落しています。

アメリカでシェールガスを採掘できる事がわかると、困るのは中東産油国です。自分たちの1番の収入源である原油の覇権をアメリカに奪われかねないからです。

そこで中東産油国は、意図的に原油価格を下げてアメリカ側を音を上げるのを待っているのではないか?と言われています。実際に原油価格がどんどん落ちていくにつれ、アメリカのシェールガスを採掘する会社が倒産し始めているというニュースもチラホラ見かけるようになりました。 


もう1つは中国経済の低迷です。今や世界経済第2位の中国は、世界の生産活動を引っ張ってきました。人口が多いゆえに原油などのエネルギーの消費も、ふんだんに使ってきました。しかし、ここに来て中国経済の成長が鈍化し、エネルギーの消費も少なくなっています。原油の供給が増えているのに、使う方も世界経済の不調で減っているのも原油価格下落の原因です。 

原油価格はどこまで下がるのか?


ここからは僕の個人的な予想です。石油産出国は、原油に経済を頼りきっています。ロシアもサウジアラビアもベネゼエラもです。中東産油国では、原油価格の下落でキャッシュが底をつき、オイルマネーで運用している株や不動産など売りまくっているという情報もあります。


また、このまま原油価格が低いと、ロシアや中東の国々の存命には関わるので、OPECは原油の減産に合意し、実際に原油の産出量を減らしています。2016年で原油価格は底を打ち、2017年に向けて少しずつ原油価格が上昇していくのではないか?というのが僕の見解です。

原油に投資する方法



原油に投資するには、個人でも証券会社を通じて少額から購入できるETF銘柄(原油連動)をオススメします。

  • WTI原油ETF(1671)
  • (NEXT FUNDS)NOMURA原油インデックス上場 (1699)
  • NEXT NOTES 日経・TOCOM 原油 ダブル・ブル ETN(2038)

上記2つは原油価格と連動して株価が変動する銘柄です。「NEXT NOTES 日経・TOCOM 原油 ダブル・ブル ETN(2038)」は、ダブルと名の付く通り原油価格の約2倍の変動率です。ハイリスク・ハイリターンの銘柄です。


ネット証券口座をひらくなら、次の2社が手数料も安くオススメです。





コメントをどうぞ

メールアドレスが公開されることはありません。

またよし れい

執筆者:またよし れい

1983年、東京都葛飾区生まれ。アメリカのカレッジを卒業後独立。

2010年よりブログを立ち上げ、現在はブログ発信を中心に世界を旅しながら仕事をしている。

著書に『C言語すら知らなかった私がたった2か月でiPhoneアプリをリリースするためにやったこと』、『Facebookコミュニティ成功の法則』などがある。

これから起こる事を予想できる人間は居ません。唯一わかっているのは、人間は誰でも必ず死ぬという事だけです。僕は何度も言っていますが、「今」を楽しめない人は、この先の人生も楽しめないと思います。人生は「今」の連続で、その延長線上に未来はあるのです。過去に嫌な思い出があっても、「今」を楽しく生きる事で、過去の事実は変えられなくとも、過去の意味は変わってくるんではないでしょうか?

詳しいプロフィールはこちら>>>