[手紙]あの頃の僕とカッコイイおじさんへ

飛行機

今でも鮮明に覚えている。初めて両親の付き添いなしで妹と2人で飛行機に乗ってカッコイイおじさんに助けられた日の事を。

小学校四年生の夏休みだった。大の飛行機嫌いの僕が親の付き添いなしで二歳年下の妹と沖縄に行くのはとても大きなプロジェクトだった。

怖い

チェックインを終えて妹の手をひいて搭乗口に向かう僕は今までにないくらいに緊張していた。

僕の緊張が妹に伝わったのか妹は不安そうな顔で僕を見つめた。ついには目に涙を浮かべて「お母さんのところに帰る」と言い出した。

「こんなんじゃダメだ!」と妹の手をギュッと握りしめ「絶対大丈夫だから」と何とか言い聞かせて自分達の座席まで辿り着いた。

まだまだプロジェクトは始まったばかり。

僕は自分を落ち着かせようと深呼吸した。離陸のアナウンスがされ僕の緊張感が頂点に達した。

飛行中

顔は強張り、手は汗でビショビショ。途端に飛行機を飛び出したくなり泣きそうになった。

すると誰かが僕の肩を叩いた。横に目をやると、僕の隣に座っていたおじさんが読んでいた新聞の横から顔をひょっと覗かせてた。

おじさんは「飛行機初めて?もしかして怖いのかい?」とニコッとした表情で僕に聞いた。

「飛行機は何回か乗ってるんだけど、妹と2人は初めてで飛行機は苦手なんだ」と返事をした。

すると「おじさんはねー毎日仕事で飛行機乗っているけど、飛行機堕ちる事なんてないし安心しなおじさんが着くまでお話しててあげるよ」と僕と妹に言ってくれた。

その時のおじさんの言葉に僕はどれだけ救われたか。飛行中はおじさんが今までに行った旅の話を沢山聞かせてくれた。

子供だったので詳しい事はわからないが、おじさんは金融機関に務めるている様子だった。

途中何度が飛行機が揺れて怖かったが、それよりも僕はおじさんがカッコ良く見えて僕も将来こんな素敵なおじさんになりたい!と思っていた。

無事飛行機が到着し僕、妹おじさんの三人で到着口を出た。そこには迎えに来ていた祖母が立っていた。僕は安心のあまり泣きながら祖母の元へと走った。

ふと見渡すともうおじさんは居なくなっていた。僕と妹と見届けたのでおじさんは帰ってしまったのだろう。ありがとうの一言も言えなかった僕はひどく後悔した。

その日以来僕はあのおじさんのようになりたいと心の底から思うようになった。

アメリカの大学に進学してビジネスを学んだ。世界中を飛び回るあのカッコイイおじさんのようになるために。

途中大きい病気をしてしまい今は前に目指していた職業とは全く別のものになってしまったけど今も僕は飛行機に乗っている。

恥ずかしい話今でも飛行機恐怖症でビクビク震えていあの頃と全く変わってないけど、あのおじさんのように毎月何回か飛行機に乗って世界中を回っている。

あの時の僕が今の僕を見たらなんと思うだろう?少しはカッコイイって思ってくれるかな?

おじさんが今の僕を見たら何て思うかな?まだ飛行機怖いのか?って笑われちゃうかな?

これを書いてたらちょうど羽田空港に到着した。あさってもここから僕は旅立つ。

おじさんありがとう!

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