絵葉書売りの少女 | ミャンマーでの回顧録

ミャンマー

ミャンマーの旧都、ヤンゴンの市場「ボーヂョーアウンサン マーケット」辺りを散歩していると、1人の少女がこちらに向かって歩いてきた。
黒く健康的なショートヘアーに、クリクリっとした大きな目。頬には「タナカ」というミャンマー地方にある木で作られた天然の日焼け止めをあしらっている。対照的に、身につけている少し大きめでヨレヨレの衣服は、お世辞にも上等とは言えなかった。それでも、彼女の雰囲気は人を惹きつける力があった。

少女はカバンの中から扇子を取り出し

「ニホンジンデスカ?センスカッテクダサイ」

と、流暢な日本語で話しかけてきた。少女のあまりに上手い日本語にびっくりし、目を丸くしていると

「カウ?」

と聞いてきた。あいにく荷物になるのが嫌だったので

「扇子は要らないけど、あなたの日本語に感心したからチップをあげる」

と財布からお金を出し、少女にお金を渡そうとした。すると、彼女は情けは無用とばかりに、一切受け取らない。それだけは、商人としての矜持が許さないと、彼女の大きな瞳が物語っていた。

僕は少女の面子を潰してしまった事に気付き、いたたまれない気持ちでいた。すると、彼女は次に、カバンの中から絵葉書を1枚取り出した。

「カウ?」

僕はそれを買うことにした。

彼女は、お金を受け取り、自分の財布にしまう。それはまるで、何十年もこの商売をしているかのような、大人の仕草だった。

「ありがとう。」

僕が言うと、彼女の笑顔は一転、可愛いらしい少女のそれになった。取引が成立すると、少女はまた他のお客さんを求め、歩いていってしまった。

帰りの飛行機でふと、少女から購入した絵葉書を取り出してみた。

絵葉書に写っているミャンマーの風景を眺めていると、

「アナタモ、シゴト、ガンバレヨ」

あの少女がふっと出てきて励まされた気がした。

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またよし れい

執筆者:またよし れい

1983年、東京都葛飾区生まれ。アメリカのカレッジを卒業後独立。

2010年よりブログを立ち上げ、現在はブログ発信を中心に世界を旅しながら仕事をしている。

著書に『C言語すら知らなかった私がたった2か月でiPhoneアプリをリリースするためにやったこと』、『Facebookコミュニティ成功の法則』などがある。

これから起こる事を予想できる人間は居ません。唯一わかっているのは、人間は誰でも必ず死ぬという事だけです。僕は何度も言っていますが、「今」を楽しめない人は、この先の人生も楽しめないと思います。人生は「今」の連続で、その延長線上に未来はあるのです。過去に嫌な思い出があっても、「今」を楽しく生きる事で、過去の事実は変えられなくとも、過去の意味は変わってくるんではないでしょうか?

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