江戸時代の教育といえば寺子屋である。「江戸時代の読み書き、そろばん能力は同じ時代のイギリス、フランス以上であった」とイギリス人の社会学者ロナルド・ドーアが『江戸時代の教育(岩波書店)』で書いている。
江戸時代の教育の強みとして挙げられるのは、文字文化と非文字文化が一体化して円滑に機能していた点だ。寺子屋で読み書きを習い、外では家族とゲマインシャフト、つまり村共同体が一緒になって子育てをした。
日本の歴史を大きく変えた坂本龍馬や西郷隆盛、大久保利通も寺子屋やゲマインシャフトが組織していた時代を生きた人だ。彼らは、みんな大衆の中から出てきた。
香川ブログ合宿は寺子屋だ
前置きが長くなってしまったが、先日香川県丸亀市にある「善照寺」で開催された香川ブログ合宿に参加してきた。内容はクローズドなので、公開はできないのだが、ここでの体験は江戸時代の取り組みに通じるものがあった。
これまで、数多くのブログイベントに参加してきたが、「お寺」で開催されたブログイベントには初めて参加した。それこそ、年齢もバックグラウンドも住む場所も違う人たちが、お寺に集まり学ぶ姿は寺子屋の複式授業そのものだったように思う。
「教え・教わる」というのは相関的なものだと哲学者の鶴見俊輔さんは言っていたが、このブログ合宿ではまさに「教え/教わる」事が体現できたイベントだった。
ゲマインシャフト
先にも説明した通りゲマインシャフトとは日本語でいうところの、共同体という意である。江戸時代、明治時代はゲマインシャフトが良く機能していて、小さな共同体から国を支える人材がたくさん排出された。
翌日は、皆でブログの話は一切抜きで遊んだ。住職の「へんも」さんはフットバッグの日本チャンピオンで4年連続で日本一獲得している。アスリートであり、パフォーマーであり、ブロガーでもあり、たまにウクレレを弾く、お坊さんだ。
副住職の「とっしゃん」さんはお坊さんでありながら、大道芸をやっている。彼らにジャグリングを教わったり、プロ縄跳びパフォーマーの「粕尾将一」さんに縄跳びを教わった。
大人になってから、こんなに楽しく体を動かせるとは思いもしなかった。同じ釜の飯を食って、一緒に遊ぶ。
おかげで翌日大変な筋肉痛に見舞われたが、こんなに清々しい痛みはいつぶりだろうか?
「お上」が教育に介入しなかった事が、江戸時代の寺子屋を上手く機能させていた理由の1つだが、このブログ合宿もしがらみなく枠にとらわれていないからこそ、上手くいっているのだろう。
参考文献
【写真協力:ココロザシ守岡 裕志さん】