はじめに
とても有り難い事に先日の英語学習法のエントリで僕のブログでは1番の反響を頂いた。
参考:MBAホルダーから教えてもらった英語学習方法 | Last Day. jp
書店でも英語学習の本は毎月新しいものがあとを絶たず出版されている。僕らの英語に対する関心の高さが伺える。ただ悲しいかな、僕らの英語力必ずも関心の高さとは比例しない。
今週の週刊東洋経済で非常に興味深い特集『非ネイティブのための英語術』が組まれていた。
英語で良く使われる1500単語を覚えれば、いとも簡単に英語でコミュニケーション取れてしまうというものだ。これをグロービッシュと呼称している。
グロービッシュは僕ら日本人にとってグローバル化社会を強く生き抜くための起爆剤になる。
世界の英語人口は?
週刊 東洋経済 2010年 9/18号 [雑誌] | |
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グローバル人材育成コンサルタントの船川淳志氏によると
世界でも最も使われいる言語は何だと思いますか? その答えは、ボディーランゲージとブロークンイングリッシュです。われわれのような非ネイティブこそが、世界の大多数なのです。
とある。確かに海外旅行に行けば大半が身振りと中学生レベルの英語で事は済んでしまう。
更に言語学者のデイヴィット クリスタル氏の推計によると、
2006年時点で世界の英語人口は14億〜15億人。そのうち、英語を第一言語とするのは約4億人に過ぎない。
つまり英語人口のうち約7割が非ネイティブスピーカーとなる。英語は世界のプライマリー言語ではあるが、英語が母国語でない人々によって支えれているもだという事が良くわかる。
海外旅行に行った事のない方ははインターネットの世界を想像すると判りやすいだろう。YouTubeやソフトウェアのフォーラムを覗いてみると如何に僕らのような多くの非ネイティブ達が英語でコミュニケーションを取っているかがわかる。
さらにDavid Graddolの著書『English Next 2006』によると2010年には世界の英語学習者が約20億人に達すると言われている。20億人とは実に世界の人口の1/3に当たる数字だ。無視できない数字である。
日本人の英語力
アジアでのTOEFL平均点(2007年)
1 | シンガポール | 100 |
2 | フィリピン | 88 |
3 | マレーシア | 87 |
3 | パキスタン | 87 |
5 | インド | 84 |
6 | バングラデシュ | 83 |
6 | スリランカ | 83 |
8 | キルギス | 81 |
9 | 香港 | 80 |
10 | 中国 | 78 |
10 | インドネシア | 78 |
12 | 韓国 | 77 |
〜 | : | : |
23 | 北朝鮮 | 69 |
25 | アフガニスタン | 67 |
26 | マカオ | 66 |
27 | ラオス | 65 |
27 | モンゴル | 65 |
27 | 日本 | 65 |
30 | カンボジア | 63 |
※最高点は120点 参考:ETS
受験者の母体数が各国によって、ばらつきがあるので完璧に正しいサンプルとは呼べないが、それでも日本はアジア圏では下から2番目であるのは悲しいものだ。
グローバル化の進行は留まる事なくどんどん進んでいくだろう。アメリカ経済が崩壊し、世界の主戦マーケットが新興国に変わりつつある。新興国とビジネスをする上で”非ネイティブ”同士の対話には英語が使用される事が多い。
“非ネイティブ”同士の情報伝達には基本的には発音も語彙力もネイティブレベルである必要はない。お互いが理解しあい、仕事が円滑に進めば良いのだ。
グロービッシュ
そこでグロービッシュの登場だ。
グロービッシュは元IBMのビジネスマンであるフランス人のジャン=ポール ネリエール氏が、ビジネス用に開発した簡易版の英語。簡単に言えば、ブロークンイングリッシュを体系化したものだ。
ポール ネリエール氏自身も実際IBMで働いていた時に同僚のアメリカ人よりも断然上手く日本人の同僚や顧客とコミュニケーションを取れていた
僕も同じ経験がある。米国大学留学時代に寮に暮らしてた際に他の国からの留学生とのコミュニケーションはいつも円滑に進んでいた。お互い英語が母国語ではないので、間違えても大丈夫だという安心感があるからだ。
日本と私の母国であるフランスは、グロービッシュが最も受け入れやすい国と言えます。何故なら両国の国民は、”面目を失う”事を何よりも恐れるからです。ドイツ人はこうした傾向はありませんが、フランス人は日本人以上に体面が傷つく事を嫌います。フランス人はわからない単語や聞き取れない言葉があっても、『わかりません。もう一回話して』とは言いません。おそらく日本人も同じでしょう
この部分は同意せざるを得ないだろう。海外でたくさんの日本人に会ったが僕も含め大半の日本人は間違えを恐れ英語を人前で話そうとしない。相手の言っている事が理解できなくてもYesとわかったフリをしてしまう。
ポール ネリエール氏による、グロービッシュの説明動画がこちらだ。
動画の中でグロービッシュについてポイント
- 必要なのは1500単語だけ
- 1年以内で習得可能
- 仕事や旅行の90%カバー
- 簡単な発音シンプルな構文
- ジョークもイディオムもいらない
米国営放送VOAの『Special English Program』では基本単語1500語のみで戦争やテロなどあらゆる分野のニュースを伝えている。
下記はアメリカ英語とグロービッシュで同じ事を表現している。グロービッシュでは基本的な1500単語を用いながら文章を構成している。
1500語なら短期間で覚える事が可能だ。仕事にも旅行にも難しい単語はもう必要ない。1500語で難しい文もシンプルに変換する事ができる。下記の例を見ていただきたい。
アメリカ英語
Native English speakers can’t quite hack it when they need to dumb down to the 1,500 key words. The language they have to speak or write is expected to be kosher, if not perfect.
グロービッシュ
Native English speakers have great difficulties when they want to reduce their words down to the 1,500 key ones. On top of that the language they have to speak or write is expected to be correct, if not perfect.
見て直ぐにわかると思うがグロービッシュの文は中学生でも読めるくらいシンプルだ。
グロービッシュはツールに過ぎない
ポール ネリエール氏いわく
言語とは文化や伝統の伝達手段ですが、グロービッシュは言語ではありません。グロービッシュは単なるツール。コミュニケーションのための最も実践的なツールなのです。ビジネスのためならグロービッシュで充分です。
グロービッシュはとても現実的で時代にあった効率的なコミュニケーションツールと言えよう。僕らが習っている英語教育は如何にしてネイティブに近づくかであったが、そんな時代は終焉を迎えたのかもしれない。
完璧に英語を覚えたいのではなくて、『たまに海外旅行に行った時に現地の人たちとコミュニケーションが取りたい』とい方が大勢いた。そういう方には正にグロービッシュがオススメであると思う。
英語学習にはお金も時間も多大なエネルギーを注ぐ必要がある。しかしグロービッシュを学ぶにはコストも抑え短期間で覚えられるのが魅力的である。
おまけ
下記にグロービッシュで使用されている1500単語のPDFファイルがある。
1500語の一覧はこちら
Globishのウェブページはhttp://www.globish.com
ウェブページでグロービッシュを習得する事ができる。
関連書籍
Newsweek (ニューズウィーク日本版) 2010年 6/30号 [雑誌] | |
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さいごに
グロービッシュは日本人にとてもマッチしたツールであると思う。最初からネイティブ目指して英語学習すると決めてしまうと途中で挫折する可能性も高い。
もしグロービッシュを習得し現状の英語力に物足りなさを感じたら次のステップに行けば良い。
色んな国の人とコミュニケーションが取れるというのは本当に楽しい事である。さぁみんな今こそ立ち上がろう!
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